春を食す

福岡で会った旧同僚から、冷凍で小包が届き、何種類かの手料理のタッパウェアの中に、土筆のきんぴらがありました。20年前、彼女が定年退職して郷里へ帰り、家を新築した時、長距離電話で、土筆の卵とじを送ります、と言ってきました。田園地帯に建てた家なので、物干し場に土筆がびっしり生え、毎朝干し物をしていると「土筆が、採ってくれと言うんですよ」との説明で、弁当箱一杯の土筆の卵とじが送られてきたことがあったのです。その思い出話をしたからでしょう。

土筆のことは2018年のこのブログにも書きましたが、見つけると採りたくなるものですね。叔母の孫も子供の頃のこんな話をしていましたー兄弟2人で田圃の畦を歩きながらバケツ1杯土筆を摘んで帰ったら、父親には褒められたが母親に陰で叱られた、あれは袴を取るのが大変なんやのに、と。東京なら子供たちに袴取りもやらせるでしょうが、博多では男の子に台所の手伝いはさせられません。

ネットで調べても、土筆は結局、卵とじと炊き込みご飯しか料理法がないようですが、きんぴらは美味しかった。料理学校では付け合わせ用に、砂糖煮にして干すらしい。

長野の友人から、手土産でタラの芽と蕗の薹を貰いました。どちらも天麩羅が一番美味しいが、我が家ではもう天麩羅は作りません。料理法を考えながらまずタラの芽を洗ったら、棘が痛い(友人にそう言ったら、知らなかったのか、と呆れられました)。注意深く棘を落とし、縦半分に割って、刻んだベーコンと共に塩胡椒で炒め、酒を振って蒸し煮にしました。ワインにも日本酒にも合う。

蕗の薹は粗く刻んで、胡麻油で炒めた鶏挽肉に混ぜ、味噌を味醂とだしでのばして炒め合わせました。シャキシャキ感を残すのがコツ。酒にも白飯にも合います。