大規模修繕

南町田に勤務していた頃、横浜の青葉台のマンションに住んでいました。当時のマンションは7年ごとに鉄部塗装、13年目に大規模修繕を行うのが通例で、私が管理組合理事だった(その頃の話は「人事力」と題して本ブログに書きました)翌年に、鉄部塗装工事が予定されていました。初めての工事なので、住民440世帯向けにレクチャーが必要だということになり、施工者の鹿島建設の部長が住んでいた(マンション時代初期には、建設会社の誰かが数年間住んでいることが多かった)ので、講演会を設定しました。

しかし、部長の話は要領を得ないもの(と私は感じた)でした。国の発注工事は厳正さを要求され、欄干塗装の下準備では顔が映るまで磨けと言われるが検査前夜に雨が降って錆が出てしまい、泣きたくなることもあるとか、下請けが不正をしないように朝夕2回ペンキ缶の数を数えるとか・・・愚痴にしか聞こえませんでした。

それから36年。都心のマンションで初めての大規模修繕の時期が来て、修繕委員会は立候補者で構成されました。偶々私はその年の管理組合理事に当っており、委員会に陪席する機会がありました。莫大な修繕積立金の使途を決めるわけですが、委員の男性たちがやたら高揚していて、不安を感じました。施工はもとの建設会社に依頼することが総会で決まっていたので、担当者は積立金の総額を知っている。提案される計画は、プレミアムプランと銘打って60年経てば安くつくとか、外装のタイルは特注なので市販品は使えないとか、こちらの見栄をくすぐりながら高額の見積もりを出していることが見え見え。委員たちは何度も突っ返しましたが、常に積立金総額すれすれの見積もりが出てくる。

私はやっと、あの話が理解できました。けっきょく工事会社に任せるしかないよ、という話だったのです。素人の管理組合が書類の細部をチェックしても、判るわけがない。