パンドゥーラ

夜の民放TVに、外国人が日本の社会や文化を褒めたり憧れたりする番組が並び、我褒めと批判されたことがあります。BSテレ東の「ワタシが日本に住む理由」もその一つでしょうか。日本家屋の襖を開け放って(毎回大胆に活けられる花が楽しみで、私は視聴する)、高橋克典と女子アナが、日本に住む外国人を1人招いてインタビューします。

昨夜はその特別編で2時間編成でした。前半4分の1くらいを見落としたので、あちこち分からない部分があるのですが、ウクライナの民族楽器パンドゥーラの奏者カテリーナさんと、戦禍を逃れて来日した老母の話でした。カテリーナさんは以前、ゲストに招かれたことがありますが、恐らくその後番組が肝いりしたのでしょう、老母と2人、長野県の栄村の民宿に2泊3日で出かけたドキュメントです。

畑で馬鈴薯を収穫したり、山羊の乳を搾ったり、老母にとっては祖国での生活が戻ってきたような体験の3日間。さらに山奥の集落を訪ね、郷土料理を作ったりもして、老母はここに棲みたい、と漏らすほど(しかし幸せを感じる度に想いは故郷へ飛び、涙がこぼれます)。民宿の主とは、小さな翻訳機を片手に、会話していました。

そして村の小学校を訪ね、46人の児童たちから絵手紙を贈られ、パンドゥーラで「翼をください」を演奏、児童たちと合唱します。さらに番組は、エンディングテーマを歌うバンドとカテリーナさんが互いに相手国の言葉で歌う、新曲を作りました。現実の戦争に対しては無力でも、老母にとっても小学生にもいい、粋なことをやるな、と思いました。

パンドゥーラは半音ごとの絃が50~60本あるのだそうで、立体的な音響に驚きました。ちなみにパンドゥーラで歌う「翼をください」は、微妙に間合いが日本語とは異なり、和楽器で演奏する歌曲が微妙に間がずれることを連想して、親しみを感じました。