豊後便り・天ヶ瀬篇

別府のセカンドハウスで、秋を楽しんでいるらしい友人から、メールが届きました。

[絶好の秋日和だったので、日田市天ケ瀬の農業公園にある「ローズヒル天ケ瀬」というところへ、今が盛りのバラを見に行ってきました。ここは温室栽培と露地植え栽培の両方があり、見事です。

 

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豊後に咲くモーリス・ユトリロ

天ケ瀬地区は今年の7月豪雨で橋が崩落し、温泉街が水に浸かる大災害だったようです。まだ復旧工事が行われ、国道も修復工事中で、片側通行の箇所がありました。地形を考えたら温泉が出なければ決して人が住む集落など出来るはずがないと思われるような、狭くて険しい渓谷ですから、自然災害を前提に住むしかないのでしょう。温泉の恵みが豊かさをもたらせてくれる一方で、いつ自然の猛威に曝されるか分からない、そういう生き方なのですね。地理的条件を考えると、これはほぼ日本中に当てはまるような気がします。

こうした自然災害に苦しむ人々が、日本には大勢いるのです。つい、ヨーロッパで見聞した風土や自然と比べてしまいます。なんと日本は大変な所なのだろう!と。のんきに走っているように見えるかもしれませんが、それなりに考え、学ぶこともあります。]

人気番組の「ポツンと一軒家」(ABC系列局)を視ると、昭和の頃までは、険しい山中の集落はそこここにあったようで、山の尾根を通じて日本列島はつながっていたのです。温泉がなくても林業や狩猟、特殊な作物を作る生活は、山中に悲壮感なくあったと思うべきでしょう。小学校へは山越え2時間で通った、と福岡の祖母も話していましたし、鳥取で小学校教師になった教え子からは(30年前です)、1年生が下校途中の山中で可愛い犬の子に遭ったと言うのでよく聞いてみたら、背中に縞模様があった、とのことで大騒ぎした、と聞かされました。あの炭次郎もたしか、そういう里の出身ですね。