地方創生

用があって、久しぶりに東京駅へ出かけました。直行直帰を心がけましたが、駅通路脇にある紀伊國屋にだけ寄りました。東京駅構内のコンビニは、地方の新たな名産品のアンテナショップの趣があって、各地で開発された新商品が置いてあるからです。外から見える棚には、同じ商品をびっしり並べるレイアウトにしているようでした。デザインに工夫を凝らしたジャムや調味料の容器(例えばジャムの小瓶の口には、文字入りの細いリボンが大きく結んである)が、人目を惹きます。店内は酒のつまみや小さなスイーツの類が多い。サラリーマンが勤め帰りに、素早く買っていく店なのでしょう。

私は地方勤務経験のせいもあって、日本中の「田舎」で、何とか特産のブランドを創ろうとしている試みを知るのが好きです。舐めるように棚の1つ1つを見て回りました。傍目には怪しい婆さんと思えたかも知れません。

しかし無駄遣いと言えば無駄遣いでもあるし、試し買いでもあるので、¥200~300台の小さなパッケージばかりを籠一杯買いました。八女茶味のボーロ、牛久のレーズンウィッチ、金沢のブランデーケーキ蔵王のヨーグルト。三陸の秋刀魚煮付、北海道のアスパラガス・スープ、千葉の牛蒡チップス、それに越後麦酒の「金藏」(正しくはかねのくら、と読むらしいのですが、音読みが父の名と同じなので仏壇向けです)。締めて¥2200でした。

もう梅雨入りしたかのような、暗い、重い空です。ささやかな今日のコレクションを背負って、帰りました。今まで旅してきた土地を思い浮かべながら、喫茶もよし、酒を嗜むもよし。ひそかに、地方創生の努力の結晶に敬意を表しつつ。