B-ぐる

用足しの帰り、新しくできたB-ぐる本郷湯島線に乗ってみました。御茶ノ水駅前から、湯島の街をぐるぐる走り、菊坂通りで下車するまで、100円硬貨1枚、ほぼ30分の旅です。この辺はかつては上野にかけてラブホテルが建ち並び、正月の休日に父と散歩したら、人から見られるのを嫌がりました。よく見ると町並みの中に、今も男性専用カプセルホテルだの入り口が奥まった小さなホテルだのが紛れています。区が老人ホームを造って以来、怪しげな界隈という眼で見られることは減ったと聞いていましたが、カップルで歩く時は未だ用心が要りそうです。

その町並みには、ちょっと時代色をつけた小粋な呑み屋や小料理店がぎっしり並んでもいるのでした。2年前にも書きましたが、たそがれどき、いつでもどの店にでもふらっと入れるのだ、という自由を小脇に抱えて街を歩くのは楽しい。暖簾の向こうにはとりとめのないお喋りと温かい湯気が満ちている、そう想像しながら通り過ぎるのは至福の時です。今日は少しだけ、そんな気分を思い出しました。殆ど忘れそうなくらい遠い昔になってしまった気がするけど・・・

松坂屋にはPARCOのネオンが輝いていました。子供の頃は、小石川から都電でよく広小路まで来たものです。化石類が展示してある科学博物館と、秋葉原鉄道博物館とが遊び場でした。学生時代は文化会館や西洋美術館、東博へよく来ました。働き始めてからはすっかり足が遠のき、その間に上野は変わりました。大正・昭和の時代、上野は、東京の文化的中心地でもあったのです。

B-ぐるは上野の森を遠目に見て、再び湯島を通り、我が家のすぐ近くで停まりました。近すぎて酒肴を買いそびれ、今夜は天神様と聖堂を夢見つつおとなしく寝るしかなさそう。