阿波国便り・愛犬供花篇

徳島の原水民樹さんからメールが来ました。徳島の空は高くて広い、と思いました。

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アカシアの花

正しくはにせアカシアというのだそうですが、私たちがよく知っているのはこちらです。童謡「この道」で歌われるのも、蜂蜜の原料となるのもこれ。繁殖力が強く、すぐ林になります。花どきは辺りに甘い香りが漂い、花房を天麩羅にすると美味しいそうですが、高い枝に咲くので採れない。名古屋に勤めた時、山林続きのキャンパスに群生していたので、職員に食べてみたいと言ったところ、じゃ来年の春は採って上げましょう、と言われたのに、私が転任してしまって果たせませんでした。

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山藤

この時期、山間部を走る列車の窓から、高い梢に咲き誇る山藤をよく見かけます。日本の山中にはこんなに藤が自生しているんだ、と感心するくらいです。かつては藤蔓は、ロープや編み物細工の材料としてありふれた物でした。

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愛犬の墓前に咲く薊

【昨年、先代犬の墓前に植えた薊が咲きました。花はきれいですが、葉はとげだらけで野生そのものです。「あざみの歌」のイメージには合いません。(原水民樹)】

薊にもいろいろ種類があるようですが、この種の棘は痛い。嫩葉は食用になる、というのですが信じられません。でも、自由に野を走り回る愛犬の墓前の花には相応しいでしょう。戦後の一時期流行った「あざみの歌」は、♪山には山の愁いあり、海には海の悲しみや、まして心の花園に咲きしあざみの花ならば、という、歌謡曲らしからぬ述懐で始まる曲でした。