春立つ前

正月の餅も食べ尽くし、明日は立春。ようやくパンジービオラの苗が揃ったので、植え付けをしました。花屋がこぼす通り(農水省の出す補助金は、農家の設備投資に使われるだけで、生産そのものは手控えられてしまうのだそう)、今年は苗の種類が少ない。花色は紫、黄、白、臙脂、橙の基本色しかなく、例年のように中間色や斑入りの花は手に入りませんでした。まあ健康で花付きがよければいいや、と株元の締まった苗を選んで買ってきました。

寒い寒いと言うものの、日脚が延びてきたので、植物は明らかに春支度です。薔薇の蕾は暗赤色の花びらを覗かせ始めました。リルケの命日には間に合わず、もう「早春の薔薇」と呼ぶべきでしょう。侘助だと思っていた椿は、咲いてみると、12枚ほどの桃色の花弁がびっしり巻いた、筒型の花でした。小さすぎる鉢なのに、条件の悪い中で一昨年よりも立派な花を見せてくれたことに、感謝の念が湧きました。

昨日スーパーで、駆け込んできたおばさんが店員を捕まえて、恵方巻はないのか、と訊いていました。節分に恵方巻をぱくつく、という習慣に然るべき典拠があるとは思えません。関西の習慣でしょうか。バレンタインやハロウィンよりも、ずっと新しく流行らせられ始めたもの。我が家では無視しています。

室礼の部屋(大型本を見るための低い本箱が置いてある)には、未だ角兵衛獅子の卓布が敷いてあります。備前の壺に松と猫柳と万年竹、それに赤や黄の花を挿し添えると新春の気分が出るので、今は橙色のガーベラを挿しています。お年始に頂いた林檎、蜜柑、八朔も食べ終わり、昨日は梅花を青貝で摺った丸盆に、豆菓子3種を載せて飾りました。晩酌に少しずつつまみ、無くなったら、今度は雛飾りです。