信濃便り・塩尻の空篇

長野の友人から、塩尻でも薔薇が盛りになった、と写メールが来ました。塩尻は冬は零下が続き、5,6月も朝はひんやりするので、東京よりは花が遅い。芍薬も咲いています。写真は弟さん夫婦が丹精籠めた庭です。今は子育てを了え、夫婦第二の人生の平穏と充実を、花々が象徴しています。

薔薇とクレマチスのアーチ

そう言えば昨春お邪魔した時に、弟のシンさんが、アーチをもっと充実させる計画を話していましたっけ。現役時代はIT企業に勤め、アメリカ暮らしもしたそうですが、今は地元の友人の農園で、現在作られなくなった葉菜の復元栽培を試みたり、品種改良用の種子を採るための胡瓜を栽培したり、山葡萄を挿し木で増やしたりしているようです(時には、東大の植物学教授を名乗る人物が現れて、匿名で指導したりするらしい)。

塩尻の空

梅雨入り前の空はまた、雲の美しい時季でもあります。郭公を聞きながら、薔薇と雲の見える庭で飲む珈琲は格別でした。奥さんのカエさんは、庭で採れる果物でジャムやフルーツソースを作ったり、農園を手伝いに行ったりしながら手際よく家族をサポートしていました。ほどほどに体力を維持できれば、こんな老後は理想的です。

シンさんが現役時代に東京や米国で働いたように、お子さんたちも今は遠隔地や近在で、それぞれの職場を支えているらしい。定年後戻ってくるなら、近隣で住居や土地は用意できる、という話を聞き、東京とは違って、人間が等身大の人生設計を可能にできる所なんだなあ、と実感しました。

野菜好きの愛犬レノンは今日も、地下の土竜の気配と闘ったり、来客に可愛がられたりしているのかしら。今度は秋の信濃路を見にお邪魔します、と伝言しました。