川越便り・垣根の春篇

川越の友人から、ひらりと写真つきメールが送られてきました。

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垣根の万作

【ときどき天気予報が外れて、肌寒い日が未だあります。でも、庭に出てみたら垣根の傍らのマンサクが咲いていました。「先んず咲く」がマンサクになったという俗説がありますが、本当に他の花に先駆けて咲きます。春になるぞと教えてくれる花です。】

雪国で豊年満作を予告する花だと聞かされていたのですが、干からびたような縮れた花弁が目立たないので、つくづく眺めたことがありませんでした。この時期に咲く黄色い木の花には、蝋梅や山茱萸もありますが、最も地味なのが万作です。

日照良好の我が家では、ムスカリの蕾が出ました。今年は素馨花の蕾がたくさんついて、今から楽しみです。実生で育てた3本の椿の中、2本が花をつけましたが、同じ実から出た芽を育てたのに、1本は八重、1本は一重の花を咲かせ、自然の不思議に粛然としました。3日ほど暖かい日が続いたので、アリッサムビオラ、パンジーが盛り上がるように咲き出し、同時にアブラムシも爆発的に活動開始です。

春が近づくにつれ、日差しは室内の奥まで入らなくなり、その代わり、ベランダの植木たちが太陽の恩恵に浴しています。頂き物の山椒の梢に、やっと緑の芽が覗いてほっと一安心、実生の白山吹にも芽が見え始めました。

黄色い花の咲く早春の木、山茱萸の古木が宇都宮大学構内のひっそりとした奥にありました。きちんと剪定され、姿のいい木立でしたが、周囲に人気もなく、早春に満開になってもあまり気づかれないようでした。今でもあの木だけを見に、宇都宮へ行きたくなる時があります。古木、大木にはそういう忘れられない1本があるものです。今年はせめて、播磨坂の生垣に植えられた山茱萸でも、見に出かけましょうか。