感性と視点

政治家の失言は講演会で出ることが多いようです。話を面白くしようというサービス精神か、ここではオレが王様と思う故なのか。尤も絶えず失言をしている人もあって、ギャングスタイルの似合う、九州出身の老人はまさに百連発。現在の外相に言及して「俺たちから見てても、このおばさんやるねえと思った」と評し、「そんなに美しい方とは言わんけれども」どんどん自力で仕事を進めることを褒めた、と報じられました。

私は彼やマスコミが、いま何故この女性を持ち上げるのか、という点に警戒しています(杞憂かも)。勿論、「俺たちから見てても」という不遜さ、美醜を高評価条件にすること(オトコだって権力者には華が必要)は愉快ではないが、例えば副大臣に女性が入らなかった時のマスコミの非難には強い違和感を持ちました。育てろ、という論調にです。オトコの世界でも実力のある人は抜擢され、実績を挙げていく、女性も本気なら、男性の眼に叶って階段に乗せて貰おうと振る舞うのでなく、目前の仕事を仕上げていくべきです。

外相がWPSの作業部会を起ち上げたことも大きく報じられました。WPSってなんだ、とウェブで調べたら、無線LANの接続設定用語ばかり出てきて、外務省のHPは埋もれていました。開けて見ると、Women,Peace and Securityに関する安保理決議が2000年に出され、国際的な平和と紛争の予防・解決には女性の平等な参画や性暴力からの保護が必要だと明記されたのだそうで、2015年には安倍元総理がその履行を国連総会で約束したらしい。女性ならではのライフワークではない(ちなみに「ならでは」と言ってしまった現総理の失言は、「感性や共感力」が問題なので、「視点」だったらOKでしょう)。

差別と応援は往々にして繋がっています。我が家の購読紙の、麻生失言記事の紙面(25面)を引き抜いたら、上川肝いりWPS記事の紙面(4面)と見開きでした。