あらせいとう

今朝はまるで「春の嵐」のような、じわっと生温かい朝でした。川越から、お節介だが、と断ってメールが来ていました。ストックは季節外れではない、南欧原産なので日本では一年草扱いだが、元来11月から5月までが花期、という。ウェブで調べてみると、なるほど播種や苗は10~11月、日本では冬を越して花を咲かせる、と種苗会社の説明にはあります。

遠い昔、未だ自分の小遣いでは花を買えなかった頃、ストックは早春の花でした。一重と八重とがあり、私は一重が好きでしたが、店頭では次第に八重一辺倒になりました。春の兆しを日々見つけてはときめく季節、音楽ではショパン、文学なら堀辰雄三好達治丸山薫。そして八重のストックを見ると、何故か花びらをむしって数片をコンソメスープに浮かべたい、と思うのが、少女時代の私の早春だったのです(根拠は全く不明)。

いま店に出ているストックは草丈を低くし、日本の秋にも咲くように品種改良されたのでしょう。ハウス栽培の早咲きだそうです。ウェブでは英語の「ストック」は幹、茎の意味だとあり、真っ直ぐに立つ茎が特色とされてきたのに、都会暮らしの需要に合わせて育てられたらしい。和名はあらせいとうで、私はこの名が好き(紫羅欄花と書くことは初めて知りました)、花の香りが連想されます。ついでにネットサーフィンすると、国語教材「わたしを束ねないで」という新川和江の詩や、諸葛菜オオアラセイトウ)についての蘊蓄を語る竹内真彦さんのブログに行き当たり、おかげで見聞を広めました。夕方、嵐は去り、空一面の鱗雲。春から夏、そして一気に晩秋へ移った一日でした。

ちなみに初めて自分のお金で花を買ったのは、中学生になってから。大晦日に赤い薔薇2本を買って¥200,当時としては吃驚する値段でした。