第4回研究報告会2日目

10:00から明翔会研究報告会2日目。午前中1本目は岡部柊太さんの「黒龍会のアジア認識と文明観」。1901年に結成され、共同事業による日本のアジア進出や帝国主義的アジア研究を主張した団体、黒龍会の歩みを辿り、西洋の物質文明に対して、東洋の精神文明に西洋の近代的技術を加味して、経済的アジア主義を唱えたと紹介しました。

2本目は木内涼さん「19世紀後半のオペラ=コミックにおける「よく知られた歌」の引用」。パワーポイントが作り込まれ、説明も明快。19世紀パリで上演された「オペラ・コミック」が、当時よく知られた歌をどう利用して新たなジャンルを創出したかを説き明かしました。3本目は吉原将大さん「漢字2字熟語の認知プロセスの性質」。認知心理学の立場から、目で見た文字がどう認識されていくかを実験によって解明する模索について、語りました。最後は学芸員の谷綺音さんが、屋久島を例に、観光施設の発信と観光客の関心のずれを、共起ネットワーク分析という方法で提示する試みを語りました。

午後からの記念講演は、①ゲスト講師鄒聖傑さん「中国における中等教育段階の日本語教育の現状と課題」、明翔会OBの②会田大輔さん「北魏における女性権力者」でした。①では中国の小中高教育における外国語が、英語限定から方針変更されたことに伴って日本語学習者が急増しつつあること、しかしそれに教育体制が追いついていないことが報告されました。②は著書『南北朝』(中公新書)から抜粋して、馮太后と胡太后の伝記から考えられる北魏の権力実態の変容について語りました。多様な報告それぞれに、研究対象と方法の面白さ、難しさが浮かび上がりました。

銀座スイーツ

終了後、報告者と世話役を囲んで、銀座でケーキを食べながら歓談。多彩な経験が取り交わされ、再会を約して別れました。