第4回研究報告会1日目

明翔会主催第4回研究報告会の1日目。昼過ぎに新橋の国際善隣会館へ入ると、すでに会場の準備ができていました。世話役の人たちがこれまでオンライン会議を重ね、メールのやりとりを繰り返して用意してきた会です。会場とZoomとを併せて、参加者は老若30人くらいだったでしょうか。

発表の1番目は東海大学修士課程の重村つきさん「天平宝字年間における柵戸と流刑」。日本古代・中世の刑罰の中、軽重に変化を持たせ得る流刑には政治権力の影響が現れやすいと考えて、柵戸を取り上げました。類聚国史の「配流」の項に「柵戸」(古代、辺地開拓・経営のために移民させられた武装植民のこと)があり、続日本紀天平宝字年間記事に3件、柵戸の例があることに注目、流刑との相違を推測しています。

明翔会研究報告会1日目

2番目は九州大学博士課程の藤立紘輝さんの「中世太宰府天満宮の祭礼と政治権力」。康和3年(1101)に大江匡房が夢想を得て始めたとされる太宰府天満宮神幸祭(旧暦8月)について、14世紀懐良親王時代、15世紀大内持世の時代、16世紀大内義隆や秋月氏の時代、それぞれ政治権力と宗教勢力との相互関係を見ようとするもの。

3番目は沖縄県立芸術大学博士課程長嶺勝麿さんの「近代における光明皇后の表象」。近代日本において(殊に皇室や福祉事業の周辺で)光明皇后が看護の理想としてシンボライズされていく過程を追う、意欲的な研究でした。発表時間が足りないのか、話す内容とレジュメ内容との整理が不十分なのか、早口で聞き取りにくい点もありましたが、まとまった時が楽しみです。

質疑応答も各々充実し、その後の懇親会では、日本全国から来た若い人たちがある所では真剣に、ある所では楽しそうに談笑しているのを眺めて、私も元気が出ました。