信濃便り・里子の梔子篇

塩尻の庭で育った花です、と友人から写メールが来ました。

塩尻で咲く梔子

これは我が家の梔子の枝を挿し木し、4年目でようやく咲いた1輪。もともと我が家の梔子も、20年前に同僚から頂いた枝を挿し木したもの。今では私の背丈より大きくなり、花の時季に剪った枝を活けておくと必ず発根するので、あちこちへ押し売り同然で分けてきました。長野の友人にも、水を入れたタッパウェアで送ったら、その1本が塩尻へ行き、去年は近所の子がままごと用に葉を摘んでしまって丸坊主になり、しかしみるみる枝を広げて、今年初めて咲いたのだとか。花弁が厚く、花も大きくて見応えがある、と言って貰って、親元の我が家も鼻が高い。樹に勢いがある証拠です。我が家でも以前は薔薇と見まがうほどの重厚な大輪を咲かせたのですが、鉢が小さすぎるらしく、今年は小ぢんまりと咲いています。それでも、ベランダから流れ入る香りに陶然となるここ数日です。

ブローディア

これは30年前にオランダ土産で貰った球根が、毎年梅雨どきに鮮やかな花を咲かせる、とのこと。球根はだんだん衰えて、いつの間にか消えてしまうことが多いのに、咲かせ続けるのはなかなか難しい。

長野の家はどこでも、「庭付き1戸建て」ではなく正確には「畑付き1戸建て」というべきだそうで、スマホで見せられた写真では、花だけでなく庭の中央を整然と区切って、夏野菜が植えられていました。試験的に育てている品種もあるとかで、もはや趣味の域を超えている。東京の狭いベランダで咲くのも、寒暖差は厳しくとも広々とした空の下で咲くのも、それぞれの運命と思って貰うしかありません。

我が家では今年1個だけ実った石榴が、まるまるとしたお尻を見せています。落ちずにどこまで大きくなるか、はらはらしながら、朝夕水をやっています。