川越便り・大小庭造り篇

川越の友人から来た庭自慢の写メールです。見覚えのある花も多い。

紫蘭

我が家の紫蘭は、抜き捨てられていた1本を拾ってきて植え、ほぼ10年近く待って、ようやくここ2年ほど花が咲くようになりました。しかし今年はいくら待っても芽が出ません。同じ鉢に播いた紫華蔓に負けて絞め殺されてしまったのでしょうか。ところが鉢を日向に移した翌朝、何と一晩で7~8cmも芽を伸ばしていたのです。地中で何かにつかえて芽を出せなかったのでしょう。今年は養生して、来年、花を咲かせておくれ。

紫露草

紫露草はよく見れば綺麗な花なのですが、どうも好きになれません。理由を考えてみると、子供の頃、新たに庭に植え込まれた時、私は野草の露草の方が好きで、それに比べて逞しい紫露草は、露草の名を騙っているような気がし、しかし親の作った花壇を批判する権利はなく、深層心理に憤りが残ってしまったらしい。花には罪はありません。

モーリス・ユトリロ

友人の31鉢薔薇コレクションの1つ。各地の薔薇園に見習って、下草にデルフィニウムジギタリスなど大柄の花を植え始めたようです。英国式庭園になるのかしら。

我が家は実生の石榴の花が咲き、梔子の蕾が出始めたところです。こぼれ種の菫やアリッサムがどんどん増え、ヨーグルトのカップに植えてあちこちへ分けています。タツナミソウを貰った家にも持って行かなくちゃ。いまひそかに楽しみにしているのは、文字摺の花。この季節、青芝に万国旗を立てたように咲く、小さな小さな野生の蘭です。近所のプランターから枯れた1本を失敬したら、通りかかった小さな女の子に咎められました。事情を説明するのが難しくて、叱られたままになりましたが、その種子から育ててもう5~6年、待ちくたびれた頃、ひょろりと紐のような花茎が2本出て、しだいに捻子の刻みのように花序が姿を現わしてきたところです。増やしたら、お返しします。