川越便り・立志封印篇

川越の山野草マニアの友人に、牧野富太郎伝の朝ドラ視てるか、とメールしたら、どんな植物が出てくるか楽しみで録画して視ている、と返信が来ました。

丹頂草

彼は大学進学の時、千葉大の園芸学科に行きたかったのだそうで、しかし遠距離通学は体力的に無理だと封印した、今の庭造りはその名残かも、と言うのです。

深山苧環

私は幼年時代、牧野植物図鑑を愛読(当時は寝たきり児童の読書欲を満足させるほどの本は、これしかなかったのです)していたので、植物学者になるのが夢でした。大学受験の時、父にそう言ったら、これからの植物学は化学だろう、と言われ(つまりバイオ)、化学は面白くなかったし浪人は許されなかったし、改めて自分が植物学の何をやりたいのかを考えたら、分類、形態、それに分布・生態に当たるようでしたが、いずれにしてもフィールドワークの体力が必要そう。到底自信がなくて断念しました。

一人静

朝ドラの1回目を見逃したので、エノキさんに粗筋を訊きました。何で牧野富太郎をとりあげるんでしょうと言うので、思わず一喝!日本中の植物図鑑は牧野富太郎が作ったんだよ、と。エノキさんは慌てて、それじゃちゃんと視ます、と言って帰りました。子役に出だしをさらわれるのは長編ドラマの定石ですが、私は松阪慶子が祖母役を演じるようになったことに感無量。ごくつまの主役も務まりそうな貫禄です。

植物図鑑を熟読したおかげで、顕花植物はまず芽生えの葉の数で二大別され、以下、花の形で分類されていること、植物によって形態の基本となる数が決まっていること、太陽を好むものと日陰を好むものがあることなどを知りました。その知識は風景を見る時や風土を知る時にも役に立ちます。かつて春木町の和菓子屋に「胴乱」という名の饅頭があって牧野富太郎の好物だったことを知り、探しましたが、もう見つかりませんでした。