昆虫食

調理実習でコオロギパウダーを使った料理を食べたら父兄から苦情殺到、というニュースに、興奮気味のツイートが飛び交っているようです。世界的な飢餓到来に備える研究の必要は以前から囁かれていて、私も10年近く前、昆虫食や新たな食材開発の研究と事業化の企画書を読んだことがありました。その時は、どうしてこれが先端研究なの?と思っただけでしたが、今や現実に採算化、企業化する方向へと進んでいるらしい。

スーパーにもすでに、コオロギ煎餅なる商品が人目につきにくい所に置かれていますし、コオロギ食を試食した人の話では、小蝦などの甲殻類に似た食感だという。ツイッターへの投稿は殆どが感情的で、根拠のない誹謗に近い言説に過ぎませんが、私も食糧危機対応ならば、コオロギを養殖する前に未だやることがいくらでもあるような気がします。しかし、昆虫食がどれもみな、不味くて有害で不潔なわけではありません。

国内でも昆虫を食用とする習慣は、あちこちにあります。有名なのは蜂の子や、蝗の佃煮でしょう。弟が生まれたのは昭和26年でしたが、妊娠が分かった時、門司の実家から弟の母宛に蝗の空揚げがぎっしり詰まった箱が送られてきました。あの当時、贈答用の卵は緋色の四角な紙箱に籾殻と共に詰められましたが、その箱一杯の蝗です。匹で数えたら3桁だったかも。未だ戦後、食糧のなかった時代で、揚げ油の香りのする黄金色の蝗はいかにも美味しそうでした。食べてみたいと言ったら、2匹だけ分けてくれて、生まれてくる子のためのものだから、としまい込まれました。

恐らく田圃で捕獲した蝗を素揚げした、自家製だったのでしょう。蝗は稲の害虫でもあり、食用にする習慣はよく知られていたので、抵抗感はありませんでした。蟋蟀を現代の給食にいきなり出したら無茶だと思いますが、冷静に議論したいものです。