缶つま

買い物の回数を減らせ、とのことなので、保存食を点検しました。私たちの世代は未だ、乾物を少しずつ揃えておくのが習慣になっている時代に、主婦になったのです。例えば海苔、干し椎茸、だし昆布、とろろ昆布、削り節、麩、素麺、栃木名産の湯葉と干瓢。ドライフルーツでは枸杞の実(粥に入れると薬膳になる)。この中、麩は優れものです。汁物だけでなく煮物にも、洋風料理にも使える。オニオンスープやトマトソースで煮込んでもよし、非常時にはそのままパンの代わりに食べられます。

この頃缶詰を食べなくなったなあ、と箱を引っ張り出してみて吃驚。秋刀魚蒲焼の缶つまから汁が零れ出て、他の缶詰のラベルがべとべとになり、錆が出てしまっていたのです。缶つまは缶詰ではなく缶入りのつまみ、なのですね。平らに置いておけばよかったのでしょうが、横向きにしてあったので、上蓋の隙間から汁が零れ出たらしい。ということは空気が出入りしているわけで、密閉されていない(有名な水産加工会社の製品ですが)。かつて、遭難した南極探検隊の持っていた缶詰がずっと後に発見されて、美味しく食べられたという話を読んだことがあり、缶詰は半永久的なものと思い込んでいたのは間違いでした(そもそもあれは、南極という天然の冷凍庫の中だった)。

我が家ではアイスクリームを必ず、冷凍庫に保存しています。万一高熱を出した時に食べられる栄養食は、アイスクリームかプリンだけだからです。しかし非常時には、冷蔵庫はあてにできません。乾物や缶詰と食べられる野草とで数日しのいだら、その後は行政が何とかしてくれるのではないかと考えています。知人からは、水仙と韮を間違えたら大変と言われましたが、そんなへまはしません(葉の手触りが違う)。

買い置きすると、毎日、賞味期限を確認する作業が増えます。