阿波国便り・通草の花篇

徳島の原水民樹さんから、久しぶりにメールが来ました。

「最近よく転ぶそうだが気をつけるように。年を取るとすり足になるという。それを意識してか、兵隊のような足取りで散歩している老人を時に見かけるが、あれは見ていてもシンドイ」とありました。ありがとうございます。アメリカにいる教え子(最近介護の勉強をしている)からも、踵に集注して歩くように、とメールが来ました。

通草(アケビ)の花

通草は野山に自生していますが、日本趣味の人が垣根に植えたりもする、ちょっと渋い花です。若芽は茹でて食用にするらしい。本郷郵便局の敷地にも繁茂しているのですが、何故か実がなっているのは一度も見かけません。

著莪(シャガ)

いずれがあやめかきつばた、と言われる通り判別の難しい菖蒲科の中で、一目で分かるのが著莪です。調べてみると、古く中国から渡来したが、種子ができず、日本中にある著莪のルーツは同じ、つまりDNAは1種しかないという。もともと自生種ではなかったので現在、山林や水辺に自生していても、そこにはもと人家があった可能性が強い、と説明してありました。

植物考古学、といったような分野はないのでしょうか。鎌倉で中世の寺院跡を発掘している現場を見ての帰り、夏草の中に苧(カラムシ)や芹が群生しているのを見つけ、ああ、もとは人里だったんだなあと実感しました。

「最近のロシア報道には不愉快な思いをしている、自分の専門分野にさえ後ろめたさを感じたりする」ともメールにありました。そう、いわゆる歴史社会学派に惹かれてこの分野を選んだ世代の私たちには、今のロシアへの失望感はとてつもなく大きい。

最後に、徳島ではお遍路さんの姿が多くなった、と書いてありました。