チェーン食堂

65歳を過ぎると1日3食ではカロリー過多になるので、出勤日は3食(昼を抜くと大きな声が出ない)、在宅日は昼食抜きにし、定年後もずっとそうしてきました。ですから十数年前のことですが、用足しの帰りに後楽園近くのビルでラーメン店に入ったら、きっちり1人分ずつカウンターが仕切られ、両隣と遮断されていて吃驚したことがあります。客は若い人たちで、みんなケータイ(当時はスマホ以前)に熱中している。麺の太さや茹で具合を訊かれましたが、何とも不気味な気がして2度と入りませんでした。

夕食後、うとうとしながらTVを視ていたら、人気のあるチェーン食堂を紹介する番組をやっていて、あのラーメン店が客を味に集中させるためにわざと工夫した設計で、客に麺を出すまで15秒以内、距離にして28.8m以内というコンセプトを守っているのだと知り、また吃驚しました。

いつの間にか(昭和50年前後でしょうか)街はチェーン食堂ばかりになり、つまらなくなったと思っていたのですが、今や現役の人たちは、そういう街をエンジョイしながら育ってきたのでした。もう一つ驚いたのは、それらの外国資本チェーン食堂が日本味として売り出した料理が外国人料理人の発明だったり、海外の地名を付した料理がじつは本国には無い品だったりしたこと。つまり無国籍料理だったわけです。グローバル化とは、こういう文化を受け入れることなのかもしれません。

ちなみに番組で人気度1位になったサイゼリヤ。宅配を家で食べるとまずい、とエノキさんが言うので、あれは大勢でわいわい行く店だからね、と言ったら納得していました。部活の帰りに入る店、だそうです。仕事の合間に駆け込んで、定められた時間内に食べるがっつり飯を、もう1度食べてみたい気もしますが、今は身体がついていかないでしょう。