信濃便り・零余子篇

長野の友人から、小さな小包が届きました。本ブログで零余子の話を読み、送ってくれたらしい(長野も長芋の名産地なのです)。粒が揃っていて、しかも大きい。今夜は肉屋で牛を粗めに挽いて貰おう、と思いました。零余子と粒を揃えるには、スーパーの挽肉では細かすぎるからです。醤油と味醂で、少し濃いめに甘辛く煮付けると、酒肴にも米飯の友にも最適の1品ができます。少量取り分けて茹でた後、さっとから煎りして水気を飛ばし、桜塩を振って派手めの盃に盛り、膳の賑わいにもしよう、と決めました。

信濃では野沢菜を漬ける季節。友人の家では妹さんを先頭に、「たった」20kg漬けたそうです。漬ける日は朝から早起き。【今日は野沢菜を買いに出かけます。たいした量を買うわけではないのですが、開店時に行きます。意気込みの問題です。】

寒風が吹き始め、それが漬物を美味しくしてくれる、とも書いてありました。なるほどTVの天気予報では、甲信越地方には連日雪だるまのマークが出るようになりました。

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名残りの薔薇

これが今年最後の薔薇、と写真が添えられていました。室内で咲かせているようです。我が家の薔薇も、黒赤色の蕾をもたげ始めました。今年のリルケ忌のための薔薇です。

そう言えば、「庭の千草も虫の音も」で始まる歌曲は、もとは「名残りの薔薇」というタイトルだったことを思い出しました。明治に日本語の歌詞がつけられて流布したのですが、初めの2行は今の季節にぴったりなのに、後半はとってつけたような倫理的な内容で、好きになれませんでした。調べてみると、アイルランド民謡が採譜されて歌詞をつけられ、歌われて拡がるにはいろいろ経緯があったようで、ロンドンデリーの歌と同じ曲だとの説もあることを知りました。

ちなみに友人の家では、零余子は茹でてから甘辛く炒りつけるのが定番だそうです。