信濃便り・青空篇

長野の友人から、塩尻の弟さん夫婦の家で咲く薔薇の写真を送ってきました。

塩尻の薔薇

スターリンカーンという品種だそうで、三大紅薔薇の1つに数えられ、本来ならもう少しあかるい赤なのでしょうが、もう塩尻は朝晩が寒いのです。霜に耐えて咲く、大人向けの大輪です。

中野小町

日本名のついている薔薇っていいですね。何となく贔屓にしたくなります。それにしても塩尻の空は青い。もう1枚の写真には、日向ぼっこする愛犬が写っていました。

はや明日は師走。連日、喪中欠礼の葉書が届きます。先輩の訃報が続いた年、知人の兄姉の訃報が続いた年もありましたが、今年は知人の伴侶や後輩の両親の訃報が多くなりました。年賀葉書の発売もすっかりおとなしくなったようです。40年くらい前は急いで買わないと売り切れになり、20年くらい前は郵便局員が必死に販売促進していましたが、今や年明けに虚しく処分される葉書は膨大なのではないでしょうか。

我が家のベランダではようやく菊が咲き始めています。去年まで咲いた白や小豆色の小菊は消滅してしまって、黄菊だけになってしまいました。しかし晩秋の陽光に輝く黄金の花むらは、1周した季節の最後の喜悦に相応しいものです。

台風で傷んだコリウスを刈り、もう終わりと思って花瓶に挿しておいたのが全て発根し、改めて植え直したら色とりどりに葉をもたげています。こぼれ種の観賞用パプリカも元気に伸び、早春用の花苗にいつ植え替えるか、悩んでいます。植物の体内時計は気温と日照時間の両方があるので、それがずれてしまうと彼らは苦しいはずなのに。

我が家の秋薔薇は3輪目が咲き、いま出てきている赫い芽が、詩人リルケに捧げる、今年最後の花になるでしょう。