播磨坂2021

播磨坂へ、食材の買い出しを兼ねて花見に出かけました。出身高校の辺りで伸び上がってバスの窓外を見ていたら、隣席のおばさんから、どこで降りるのか分かっているかと訊かれました。地名が変わっちゃったので、と答えておきましたが、竹早町や同心町の名が消えたのはもう半世紀前。地理を知らない老人と見て、いたわられたようです。

毎年、東京都戦没者霊苑ー伝通院ー播磨坂ー教育の森公園ー大塚駅前という観桜コースを歩くのですが、今年は全部を観るのは諦めて、播磨坂でバスを降りました。花見に誘い合わせたらしい婆さん集団もがやがやと降りたので、コンビニへ入って缶コーヒーと小さなスフレを買い、やり過ごしてから歩き出しました。

気象庁の満開宣言が一昨日あたり出ていましたが、ここでは8分咲きというところでしょうか。今年は場所取り禁止です。例年なら花の下で、鼓笛隊や東洋大学のコーラス部や、地元趣味サークルの演技(ベリーダンスとか)が披露されるのですが、何もなし。並木の半分くらいは若木に植え替えられたようです。犬を連れた人、未就学児とママの集団、乳母車、老人ホームの車椅子等々が行き交って、いつもの年より人出は多いようでした。

暫くすると、袴姿やローブ姿の若者が次々にやって来て、桜を背景に写真を撮る。誇らしげに抱えた臙脂のバインダーには、見覚えのあるマークがついています。そうか、今日は母校の卒業式かー思い出してみれば東大にもお茶大にも、桜並木がない。ここまで来て記念撮影するのは、やっぱり入学と卒業には桜がないと、という心理なんでしょうね。

近くのスーパーには春野菜が溢れていました。鳥がつつき落とした花を掌一杯拾って帰り、笠間焼の黒い鉢に水を張り、花を浮かべ、仏壇に上げました。今年も桜に逢えましたー今夜はうるいとラディシュのサラダに、牡蛎の生姜煮、鶏団子で、花見酒。