川越便り・宝舟篇

川越の友人から、「♪もうすぐ春ですね~」と題したメールが来ました。

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雪割草

【春が近づくとキャンディーズの明るい歌声を思い出します。我が家の庭はまだまだ寒々としていますが、それでもよく見ると、いろいろな植物の芽が頭を出しています。今朝は木蔭の雪割草が満開になり、春蘭が開きました。どちらも小さくて、地面に這いつくばるようにしないと写真に写せません。精一杯低い位置から写してみました。】

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春蘭

春蘭は渋くていいですね。高校時代に修学旅行先の山へ蘭の苗を採りに入って停学処分を食った旧同僚(青果市場で働いているところをスカウトされて、農業高校の教諭になった)の話は、以前、本ブログに書きましたが、その後どうしているでしょうか。そろそろ定年になったはずですが。

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リュウキンカ

カタクリが一輪咲きましたが、開花前に花びらの一部を早くも虫に食われたようです。ヒメリュウキンカには根元のロゼットの中に蕾がたくさん見えています。】

立金花は川辺で、半分水に浸って咲くものと思っていましたが、露地栽培が可能なんですね。半世紀前、春に親友と八ヶ岳山麓へ遊びに行き、川辺で笹舟を流したことを思い出します。周囲には春竜胆や立金花や、名も知らぬ山野草が咲き乱れていましたが、私は茎ごと摘んだ花を笹舟に乗せて浮かべ、安定が悪く滝壺で転覆してしまいました。しかし彼女は、色とりどりの花びらや蘂を摘んで、小舟に山盛りにして流したのです。美しい宝舟でした。私は、花は茎ごと摘むものだと思い込んでいた自分の固定観念を恥じました。親友はその後、36歳で亡くなりました。