旬の過ぎた広告マン

文春砲1発で吹っ飛んだ広告マン。昨日ネット上で報道を知り、今朝謝罪文を読み、私も都知事以上に、馬鹿馬鹿しくてうんざりしました。零下80度のオヤジギャグーオリンピッグだなんて、洒落にもなってない。今やペット用の子豚を室内で飼っている人もいる時代ですが、太めの女性に豚の扮装をさせる、と言えば、そこには特別の意味があります。先住民族と犬の駄洒落で謎かけした、軽薄芸人も同様です(人権教育を、学校や所属事務所で受けてこなかったのか!)。

しかしふと疑問に思ったのは、彼の発言(LINEによる密室チャットのはずだった)は、ずっと以前のもの。どうして今頃すっぱ抜かれたのかー私が感じたのは、この広告マンはもう消費期限が切れているということ、次いで、東京五輪にはもう、(アスリートと一部の政治家以外)モチベーションがなくなっている、ということです。うがった見方をすれば、彼自身がこの役を降りたかったのではないか、どうすればさっと降板できるかに対する名案がこれだったのではないか、と疑ってしまいます。

彼に現役は無理だという理由、それは彼が自らの成功体験にすがり、しかもそこからはもはや、雫1滴も絞り出せなくなっているからです。ル・グィンの小説を下敷きにした缶コーヒーのCM、父親を犬に見立てた携帯電話のCMは大ヒットでしたが、彼はそれらに凭りかかろうとし、しかし貧弱なイメージしか持ち合わせないことを露呈してしまった。ときの首相をアニメゲームの主人公の扮装で登場させたり、家長ぶりたい父親が家族からはあしらわれたりする連続CMのアイディアは、見方によっては権威を笑い飛ばす力を発揮できたのですが、今回は何とも救いようがない。

私は、体型に関わらず踊れて、極彩色の衣装と髪がよく似合う、彼女が大好きです。