体験的電子事情・学会篇

土・日にかけて、中世文学会秋季大会がオンラインで行われました。参加申し込みはしていなかったのですが、当日参加も可、ということだったので、研究発表最後の1本と閉会の辞だけ視聴することにしました。事務局から来た通知を見ると、最初の動作は書いてなくて、ウェビナー何やらという語が出てくる。ん?とは思いましたが、新しい電子体験はいつも、全体が理解できていなくてもえいやっとやってみるしかない。ともかく参入できました。今まで体験したのはミーティング方式だったのに比べ、画面が整理されていて見やすい。オンライン会議も進化してるんだなと思いながら、聴きました。

深沢徹さんの発表「頼朝の二つの顔―『貞永式目』から読む『曽我物語』―」は、発表要旨通りの内容で、真名本『曽我物語』のテキストを、式目9条「謀反人の事」の判例として読むことはできないか、というもの。真名本と仮名本とで「謀叛」の語の用例数が極端に異なること、真名本の頼朝像が曾我仇討の前後で大きく変貌することなどは有益な指摘でしたが、真名本『曽我物語』の成立や意図を論じるには無理があり、むしろ『貞永式目』が東国の法理とミヤコの法理のはざまで成立していることから、頼朝時代到来を描く『曽我物語』の背景を考えるのが正攻法でしょう。おなじみの顔ぶれが、質疑応答に登場(何故か逆さまの画像で登場する人もあった)していました。

翌朝、Zoomにはミーティングとウェビナーの2種類があることを知り、お問い合わせ先連絡メールも来ていて、新しいサービスなのだと合点しました。ただ、視聴はしやすいが質疑応答とは切り離される感じがあります。今後、講演やシンポはYou tubeで配信してもいいのでは。なお質疑応答に参加する予定の人は、ネクタイとまでは言いませんが職場出勤スタイル程度に整えておくのは、礼儀でしょう。