花を食べる

黄色い食用菊が、1パック¥100で売られていたので買いました。あまり買う人がなくて、スーパーが安売りしたようです。パックにぎっしり詰まっていて、これはお買い得だった、と思いました。うす塩味の炊き込みご飯にしたかったのですが、四苦八苦書いている原稿が上がるまでは、極力家事を省きたい。一方ではストレス解消のために、食卓に彩りが欲しい。矛盾した精神状態にあるので、甘酢を作るのも省き、少しずつ茹でて、市販のもずく酢に混ぜました。暑い日は硝子の小鉢で、涼しい日は高取焼の鉢で、つるつる食しました。成功です。

ちょっと考えて、カニカマ(老人食には栄養的にもいいのだそうです)にめんみと果実酢(いま我が家にあるのはカボス)を合わせてかけ、味を染みこませてから裂き、茹でた菊の花びらを散らしました。美味でございます!オクラを刻んで入れてもいいかもしれませんが、酒肴にはあれこれ足さない方が粋。次は山菜水煮を買ってきて、やや濃いめのめんみで煮て同じように混ぜましたが、入っていた姫竹の歯触りだけが異質で、失敗。

我が家は正月には、紫の食用菊と白い大根の入った膾をおせちにします。酒肴の1口には、山形の菊花の漬物「もってのほか」も。菊の花は何となく、正月の「あらたまり」感を演出するのに相応しいからです。

横浜の青葉台にいた時、葛の花の酢の物を作った話は前に書きましたが、当時、職場の同僚に他人の悪口を言う名人がいて、お宅の近隣の奥様方に、あの人はお花を食べちゃうほど残酷な人なのよ、と話しておいたわ、と言われて仰天しました。悪口を創る才能というのもあるのか、と驚愕したのです。幸い効き目はなかったようでした。