まさに めちゃめちゃ しっかりと

若い人たちが強調表現として使う「めっちゃ」は、大阪方言だと思っていました。ところが、めちゃめちゃ○○、という言い方がTVタレントたちを中心に広がり、中にはその語を連発するだけ、というレポーターもいて、うんざりしています。めちゃくちゃ、むっちゃも同様です。このことは前にも書きました。

そもそも強調表現をむやみに使うのは、知的でない。某国の現大統領が当選直後から、スピーチでveryveryを繰り返すのを見て落胆したのですが、悪い予感は当たったようです。一方、弊国の政治家たちが、口を開けば「しっかりと」を連発するようになってから随分経ちました。政治家や官僚がしっかり働くのは当たり前、せめて「見落としのないように」とか、「本腰を入れて」とか、自前の表現は持ち合わせていないのか。新閣僚インタビューでは、「しっかりと」の語を使わない人に注目して聞きました。

前総理は「まさに」が口癖でした。逸れた答弁をしながら「まさに」を連発するので、論理国語を使用する習慣の人間としては、落ち着かない気持ちで聞くしかありませんでした(女の子からスマホでツーショットを撮られた、スマホ嫌いのお父さん犬の台詞なら可愛いけど)。現内閣に引き継がれた、落ち着かない用語は「改革」です。何にでも○○改革と命名する。「規制改革」ってどういう意味?規制緩和なら分かりますが。すべての規制を見直し、新たな規制に作り替える、ということでしょうか?

言葉を甘く見てはいけません。言葉はまず認識です。そして分析でもあり、その結果が伝達となります。対象を正しく認識しているか否か、うるさがらずに点検する習慣が大切。ずれた言葉を使い続けると、自分自身が騙されます。