鴨東通信108

連休で家事代行さんが来ないので、久しぶりに自分で家の掃除をしました。プロの彼女は2時間で掃き掃除拭き掃除(雑巾を両手に持って拭きます)を済ませるのに、掃き掃除だけで1時間以上かかってしまいました。

もう夕暮。思文閣出版の宣伝誌『鴨東通信』108号を手に取ってみました。宣伝誌はこのくらいがちょうどよい。ぎしぎし詰め込まず、しかし話題がひろいからです。それに京都の話題は、首都東京とは違ったテイストがあります。「粗相(麁相)」は数寄茶では肯定的な意味に使われる語でもあったこと(朴珉廷)、「幽霊」は『明月記』では故人を指していること(小山聡子)、北野社は御土居のなかった中世にはもっと西側に広く、そこに閼伽井経蔵があったかもしれないこと(佐々木創)、連想検索なる方法でアクセスできるデータベースが開発されていること(丸山雄三)・・・

座談会「絵画史料でよみがえる琉球王国」(豊見山和行・藤田励夫・外間政明)は、絵画資料の扱い方が分からずに悩んだ経験から共感するところ多く、「共同研究「植民地帝国日本における知と権力」を終えて」(松田利彦)でも、競争的資金を獲った共同研究の運営に関して、同じような体験をしたことを思い出しました。

驚いたのは木立雅朗さんの「五条坂の地域史と研究の隙間」で、さきの大戦末期には、有田や信楽や清水で、陶製手榴弾を製造していたと書かれていたことです。自決用とか、本土決戦用だと思われていたが、硫黄島や沖縄では実際に使われたことが判明したとあって、作った陶工たちの気持ちを考えたら悲しくなりました。戦跡考古学という研究分野があることも、初めて知りました。