靴の苦痛とドレスコード

女性にパンプス着用を義務づける職場内規を糾弾、厚労省に企業への指導を求める署名運動が話題になっています。通勤用の婦人物スーツ(ポケットがない)や靴に関する不平不満は大いに賛同したかったのですが、ツイッターを読んでいくうちに、あれ?と思いました。問題がごちゃまぜにされ、運動の狙いが見えなくなっているからです。

整理してみましょう。①パンプス、殊にヒール靴は職場向きか? ②女性にパンプス着用を指定する職場内規は差別か ③就活用画一的ファッションの是非 ④厚労省への要請。

服装に関しては、女性に対してより過酷な規制がされがちなのは事実です(本ブログの「ブルージーンズ」や「面接試験」の項をご参照下さい)。ヒール靴は足の健康によくないし、動きにくいし、長時間履くのはつらい、というのも事実でしょう(但し、ヒール靴を履くと背筋が伸びて、凛として見えるのもまた事実)。③はまた別に論じるべきでしょうから、今は擱きます。

#kutooに殆ど賛同しそうになって、投稿者が葬儀会場のアルバイトであることにひっかかりました。これはドレスコードの話だ。儀典を扱う職場なら、関係者にドレスコードがあるのは仕方がない。お客たちはみな儀式用の服装で参加するのですから。「ご焼香を」と、運動靴で案内されたらどうでしょう。会場設営などがやりにくい、というのなら靴は2種類用意して、履き替えるべきでしょうし、職場内で分担や手順を話し合う方が先でしょう。

厚労省に何を要請するのでしょうか。むしろ靴の生産業者に呼びかけて、礼を失せず、働きやすい靴の開発と普及をして貰う。そして各職場ごとに、服務規程の合理性を検討する運動を起こす―そういうのが、社会人らしいやり方だと思います。