小野寺(旧姓土屋)悠子さんから、富士ゼロックス小林フェローシップ研究助成論文「日韓の医療一元化社会と医療二元化社会―日本と韓国の近代医療制度史を比較して―」(2017/8)が送られて来ました。小野寺さんは、東アジア地域における伝統医学制度史の研究を専門としており、中央大学大学院博士課程在籍中(平成22年度から25年度)に、松尾金藏記念奨学基金が支援しました。
平成26年9月に「明代太医院制度の研究」と題する学位請求論文を提出して、上海の復旦大学に留学、小林フェローシップの助成を受け、27年には韓医科大学の学生と共に約1ヶ月、広州中医薬大学・北京中医薬大学の臨床研修に同行したそうです。
本論文の主旨は、日本の近代医療体制は国家による医師免許制に基づき、殊に疾病予防対策、医薬分業などを通して西洋医学一元化社会になっている。しかし韓国では、太平洋戦争終結以後、西洋医学と東洋医学(韓医学)の2種類の国家資格があり、現在は医療二元化社会になっている。それには朝鮮王朝以来の医官体制の伝統と、近代における宣教医療の普及という史的背景がある、というものです。
添えられた手紙によれば、今は法務省に勤務、昨秋結婚、今秋出産予定だとか。勤務先では日中英3カ国語で電話をこなし、上海留学時代には、得意の剣道で人脈作りに成功したらしい。今後も快進撃を声援したいと思います。