バスで街を走ると、街路樹の水木の実がなくなったことに気づきます。鳥たちが食べたのでしょう。鳥の眼には赤色が最もよく見える、という話を聞いたことがありますが本当でしょうか。彼等にも好みがあるらしくて、南天・千両・ピラカンサスと、順を追って無くなりましたが、コガネモチの実は未だ残っています。かつてシートンの動物記を読んだ時、氷に閉じ込められた山鳥の父親がやっと脱出して子を救い出す前に、まず野茨の実を「2つ3つ食って、かみつくような飢えを鎮め」たという箇所が強烈に印象に残っています。
仕事仲間の結婚祝いに、茱萸の木の鉢植えを贈ったところ、新妻が「お庭に赤い実のなる木が欲しかったの」と言ったと聞いて、なんてかわいい人と結婚したんだろう、と思ったことがありました。遠い昔になりました(じつは、茱萸の木は雌雄2株ないと実を結ばない、とは後日知ったことです)。