『長門本平家物語の新研究』(花鳥社)を出してから、あちこちから反響を頂き、励まされています。殊に、これに触発されて自分のテーマを振り返ってみた、といった内容の話は、こちらにも刺激になり、嬉しいことです。原水民樹さんは、保元物語の諸本研究でし残したこと、いくらか見通しをつけながらそのままになっていることを箇条書きに書いて、送ってこられました。谷口耕一さんは、平治物語の評価について室町物語との共通性をさらに考えていきたいとしながら、ここ20年ほどの、諸本論の視点そのものの深化を回顧されました。
小秋元段さんからは、本の構成がよくできていると言って頂きました。確かに苦労した点なので、御理解頂いて嬉しいです。冒頭の拙文にはつまらぬ勘違いが1箇所あって、塩村さんから御指摘頂き、本日の「訂正と補遺」欄に記載しておきました。
大学院の大先輩、近世演劇が専門だった原道生さんは、どうもこの頃の平家物語研究は読んでもわからん、と思っていたが、お前の書いたものを読むとよくわかる、と何度か言って下さったもので、もう読んで頂くことができないのが残念です。
今後も訂正と補遺は(殊に伝本について)増えるはずで、皆様の御教示をお待ちしております。文系の研究は常に仮設状態の四阿、袋の口は閉じられず、未来へ向かって開いていなければいけないという立場なので、断定的物言いが少なく、迫力にはいま一つかもしれませんが、各人のテーマを抱えて共感の持てるところに参入しようと考えて貰えるなら、成功です。