信濃便り・淡竹篇

長野の友人から、写メールが来ました。【この時期、スーパーや道の駅などに出回る淡竹(はちく)です。アクが少なく、味噌汁、炊き込みご飯、煮物、なんでもござれという優れものです。家族3人で、ご近所から頂いたものの皮を剥きました。】

淡竹を剥く

【淡竹は乾燥蛍烏賊を戻したもの、油揚げ、竹輪と一緒に煮物にしたり(醤油味)、鯖缶と一緒の味噌汁仕立てにします。この季節には淡竹のフルコースを提供するホテルもあります。野沢菜漬と同じで、地元で味わう味が一番と思います。たくさん貰った場合は、茹でてアク抜きをした状態で冷凍保存にします。】

こんなにどっさりお裾分けできるということは、そのご近所さんは、いい場所を知っている山菜達人なのでしょうね。長野や秋田は山菜の宝庫、小学校低学年でも、(私たちには通の食材としか思えない)山菜を一目見て見分けることができるのを、TV番組で視たことがあります。友人のお母さんも、寝たきりになった時、山菜の季節になって、自分の採取場の方角を見やりながら、昔はケンケンでも(片足跳びでも)行けたのにくやしい、と言ったそうです。

長野県民は春は山菜、秋は茸、今でも天然の山の恵みに与る暮らし、販売されている淡竹は軽蔑していて買わない。私も友人宅を訪問した時、天麩羅や味噌汁で美味しく頂きました。薄くそぎ切りにしてベーコンと一緒に炒めてもよさそう(つい酒肴寄りのレシピが思い浮かぶ)。一つ疑問なのは、どうして「淡竹」を「はちく」と訓むのか、ということ。淡竹は幹の色が淡いからついた名だそうで、「破竹の勢い」という熟語は、竹は節を1つ割ると後は割くのに手間が要らないことから来た比喩なのだそうですが。

この筍はパンダも弊国の熊も好物。くれぐれも熊と競合しない場所で採取して下さい。