社会が変わってしまう

マイナンバーカードについてはすでに何回か、このブログで書きました。連日、トラブルが明るみに出て、私が頑として登録しなかった危惧のすべてが予想を上回る規模で出てくるのを、複雑な思いで眺めています。ポイント制で釣って登録させる際、家族全員に個別の口座を用意する必要がどれだけ認識されるか、想像もしなかったのでしょうか?登録する方から言えば、0歳児にも本人名義の口座を作り、それを当分誰が管理するのか、その手間も考えて登録を決めたのでしょうか(そもそも新たな口座を作る時にはうるさくチェックする金融機関は、すんなり作ってくれたのかしら)。

いちど登録したデータはもう消せないでしょう。政府が改心して制度を多少手直ししたとしても、すでに渡してしまった個人情報は保存され、今後も危なっかしい運用に翻弄されることを覚悟しなければなりません。ある評論家が、マイナンバー制度は、国民を世帯単位から個人単位で把捉するようになる大変革だということを、政府自身が理解していない、と指摘していたのは正鵠を射ていると思います。

改定入国管理法、LGBT法案、「異次元の」少子化対策、そしてマイナンバー制度、これらに共通しているのは、日本の社会を「変えてしまう」事業なのに、政治家たちにその自覚がないことです(実務官僚たちは果たしてどうなのか、不安です)。つまり、次世代を育てるために結婚する男女2人を中心にして戸籍が更新され、生活の拠りどころとなる世帯は家族関係を原則に築かれるという、従来の日本社会が基盤にしていた制度に一部穴が開く。その結果の全体を見渡す視野を、いま誰が保っているか。

それにしても大臣秘書室、喪章以外に換えの地味ネクタイを用意しとけよ。お詫びの記者会見に、真赤な勝負ネクタイの大臣を出すな。これからも度々あることだから。