子を持つ権利、親にならない権利

どうもよく解らないが・・・書いてみます。今日の朝刊に「望まぬ妊娠の責任」と題して、孤立出産をした元技能実習生の弁護士と、熊本慈恵病院の新生児相談室長の意見が載っていました(朝日9面)。弁護士の説明によれば、日本の法律は分娩主義に基づいており、母子関係は分娩の事実により発生し、遺伝的に親子でも代理出産された子とは母子関係にはない(認知できない)のだそうです。つまり、日本では出産した女性は、母親にならない選択はできない。出産しても母親になることを強制されない権利が、女性にもあっていのではないか、と弁護士は言うのです。うーむ、親にならない権利、か。

ところが同じ新聞の日曜版(G4面)には、「多彩なレインボーファミリーが暮らすオランダ」という題で、同性カップル2世帯で1人の子を生み、育てている話が報告されています。最大4人の親権者を認める法改正の動きがあり、それが実現するまで4人の権利と義務を細かく規定した合意書を作っておくことにしたのだそう。うーむ、それならどうして養子制度ではいけないのか。結婚していない異性との間で産んだ子、そんなにまでして自分で出産しなければいけないのか。当の子供は、やがて自身の出自をどう受け止めるのだろうか。以前にも書きましたが、ヒトも生物の1種です。物理的性と精神的性自認とが矛盾した場合、他の部分、殊に社会的関係の部分を、無理矢理「ふつう」の型と同じにすることに疑問を感じます。それは自分たちだけの問題に収まらない。

子供の側からの議論がもっと必要でしょう。慈恵病院の現場スタッフの発言は感動的です。まずは眼前の生命を保護し、当事者が自力で決断できるよう支援すること。子供は社会の宝、社会全体で育てると言うのなら、内密出産やシングルマザーへの理解と支援を拡充し、確かなものにすることです。