引き返す勇気を

大阪万博まで500日だそうで、展示物の保障もないのに入場券が発売になりました。電子チケットということは、スマホかPCを持っていない者は不可ということなのかなあ、と、もともとそういう人混みに行ける自信がないので、ぼんやり考えてしまいました。しかし経費のことは、ぼんやりなぞしておられません。五輪もそうでしたが、準備が大詰めになってから費用が天文学的に膨らむ。国、地方自治体、経済界が出すというどの金も、結局は我々の懐ろしか出どころはありません。

そもそも大阪万博は政治家の妙な自己顕示欲、東京五輪に便乗(対抗?)した軽々しい宣伝欲から始まりました。大阪人たちがほんとにその気なら仕方がない、とあの当時思ったものでしたが、その気になっていた「大阪人」とは、誰だったのでしょう。右往左往の現状を見ていると、そんな疑問さえ浮かんできます。入場者数を増やすためか小中学生は2回ずつ行けるようにするとか、回天廊を解体したら木材は学校に配るとか、意味不明の発言が知事や市長の口から飛び出します。学校は掃き溜めではないぞ。

21世紀の万博って、目的は何でしょう?単なる民俗紹介のお祭りではないはず。「ものつくり大国」を目指して戦後復興を果たした弊国としては、最先端の技術を使えば何ができるかを誇示する展覧会、というイメージが強く、現に前回の万博は人々にそう記憶されました。しかし今回はコンセプトが明快ではありません(あくまで個人的感想ですが、あのロゴもセンスがない。蛙の卵か、動物の内臓を連想してしまいます)。

もうやめたら?と言いたいが、せめて規模を縮小し、廻廊の内側の広場に各国乗り合いの建物を建てるだけにしては。見栄を張ってる場合じゃないでしょう。にわか造りの施設で事故でも起こしたら大変です。いま縮小宣言を出せる勇気を、誰が持っているか。