発達障害

文科省の調査で、全国の公立小中学校通常学級の児童生徒中8.8%に発達障害の可能性があることが判明した、と報道されました(但しこの調査は、教員へのアンケートに基づいており、医師の判断は入っていません)。この10年間で6.5%増えた、とも。ネット上では、「増えた」のではなく従来判別されなかった障害が抽出されるようになったのだとの声が多く、尤もです。

その8.8%の児童生徒の中、特に支援を受けていたのは54.8%しかないと報道され、私立中学では配慮が受けられるのに何故公立ではできないのか、という父兄の声が付け加えられていました(朝日朝刊12/14)。心理学の隆盛に伴って発達障害の認定が爆発的に増え、インクルーシブ教育が国際的に推奨され、それを希望する父兄の主張も強くなるのに、現場の態勢は全く追いついていないのが現状だと思います。さらにアレルギーなどの健康問題のある児童生徒や肢体不自由児などをも加え、現場は苦悩しています。

障害児は個々に異なる問題を抱えており、対応も個別に、各々の専門的知識が必要になってきます。屡々35人定員を超える通常学級、公立学校で充分な配慮が何故できない、と問うのは、あまりに理不尽だと感じます。発達障害の児童が情緒不安定になった時は別室でボランティアの学習支援員に預けたり、養護教諭(いわゆる保健室の先生)が対応したりしてしのいでいるところもあると聞きます。

今の日本の学校現場で、理念としてのインクルーシブ教育を声高に主張するのが果たして当事者の将来のためになるのか。そもそも独自の入試を行ってある程度均質的な生徒を揃えた上で障害児への配慮を行える私立中学と、開放性と規律性とを要求される公立学校とを、同一線上で比較するのが無理です。払う授業料も違うでしょう。