コロナの街・part 44

新春に向けて花の苗を買いに出かけました。近所の花屋があてにならなくなったので、バスに乗って大塚駅前まで行ってみました。公孫樹並木の葉が落ち尽くした所、いま黄葉が真っ盛りな所、まだらな所と、通りによって違っています。今年は東京の紅葉がいつになく綺麗ですが、時季が例年とはずれているようです。水木の裸木に赤い実がそっくり残っていて、未だ鳥たちは餌に不自由していないものとみえました。寒椿が今年は花をびっしりつけ、葉が見えなくなるほど(屡々山茶花と勘違いされていますが、この時季、生垣やグリ-ンベルトに咲く赤い花は、椿の1種なのだそう)。

晴天ですがさすがに風が冷たい。日本列島のどこかで雪が降りしきっている、という実感があります。商店街には笹竹が立てられ始め、花屋では門松用の若松を買う人もいました。季節ごとに植え替えたいので、中途半端に株が残る宿根草でなくビオラかパンジーを買いたかったのですが、遅すぎたようです。やむなくジュリアンを3株買いました。八百屋に出ていた小粒の零余子を、思わず買ってしまいました。

駅前の薔薇はぽつん、ぽつんと花をつけ、中にはふさふさと咲いているピンクの品種もありました。若いカップルには何故かノーマスクが多い。スキあらばキス、なのかなと邪推しています。日が落ちてきたので、そそくさとバス停に並びました。

春日通りは高校、学部時代を通じて通った路。今はすっかりビルに埋もれた街になりました。その隙間から、黄昏れてゆく空が見え、ビルの屋上の手すりがシルエットになって見えます。少女時代から、こういう時間には一瞬、身を灼くような憧憬、遙かな遠いものへ駆り立てられる思いに捉えられました。最近は、そう感じていた昔の自分を、別の窓から覗いているような気分になります。往時茫々。