家の話

外出や異世代との交流が減ってから、メールチェックのついでに、ツイッターのトレンドを覗くのが習慣になりました。今朝は、TBS系のTVドラマ「俺の家の話」(脚本宮藤官九郎 主演長瀬智也)の第6回がブレイク、特に「逃げるのも才能のうち」という台詞や発達障害児の位置づけが共感を呼んでいました。ブログには放映中の番宣を書かない内規を課していましたが、敢えて書いてみます。

私が視たのは第4回と第5回だけ、能楽宗家が舞台だという番組予告に興味を持ったからです。視聴して、ちょっと驚きました。ドラマの手法、役者に求められているものがすごい、これは今どき侮れない、と思ったのです。設定は能楽宗家の長男に生まれた主人公が、人間国宝の父(西田敏行。やや好々爺に過ぎる感あるも好演)に反発して家を出、プロレスラーになったが盛りを過ぎ、倒れた父の介護を決意して家に戻る。すると介護士の女性やら住み込みの一番弟子やら、弟妹たちやらとの間にすったもんだがあって・・・というもの(詳細は番組公式サイトを見て下さい)。

設定は荒唐無稽、全体に喜劇仕立てで、最近のトピックスや風刺がてんこ盛り(そもそも、人物がみなマスク姿で演じている)ですが、要所要所にはっとする警句や問題提起が埋め込まれています(そのため私は、子役が発達障害児を演じているとは気づきませんでした)。劇中、過去の出来事を説明するのに、新作能と称して能がかりで演じたのには膝を打ちました。能は時間を超えるドラマだからです。脚本家の知恵に唸りました。

そして西田敏行が車椅子を押す介護士に漏らす台詞ー今まで風呂敷を広げすぎて、どうやって畳めばいいか分からない、死に方が分からなくなっちゃったんだよ、は心にずしんと来ました。高齢者たちの幾分かのとまどいを、これほど巧く言い当てるとは。