女の現場・教育支援篇

先日のゼミ会の幹事役は、我が子が卒業した後、ボランティアで小学校の支援員を始めたそうです。今は週5日、特別支援の必要な児童2名に付き添っているとのことで、1人は普通学級、もう1人は特別支援学級と普通学級の両方に所属しているが、多動性症候群やパニック障害があり、興奮するとなかなか収まらず、クールダウンするまで別室で世話をするのだそう。専門教員はいるが忙しく、結局、興奮が鎮まるまで何時間も任せられたままになる。じっと座っているとか呼ばれれば返事をするとか、学級内で当たり前の行動ができることがむしろ特別なことに見えてくる、と言っていました。

聞いていた同級生の1人が、著名な学習塾の講師をした時、この教室の8割には発達障害があるからね、と言われて吃驚した話をしました。近年は臨床心理学や発達教育学を専攻した人が増え、検査が簡単に受けられるようになり、ちょっとでも数値がはみ出ると○○障害との判定が出る、しかし心理学は判定はするが治療はしないので、「あるがままに受け入れる」という指針をどう実現するのかのスキルは示されません。支援員をしている彼女は、放送大学で関連しそうな講座を受講し始めたそうです。地元の大学には特別支援教員養成課程があり、修士課程もあって、志を持つ学生はいるはずだから、現場の悩みを取り次ぐパイプを作るべきだ、と言ってみましたが、ボランティアの立場からはその前に、各学校の専任教員の手が回らない、というネックがあるのらしい。48年前、高校教諭だった私が悩んだ状況から、殆ど進歩していない、いやもっと大変になっているのです。

発達障害とか学習困難とまで言わなくても、教室の後ろで授業を見ていると、明らかに授業について行けていない児童が何人もいる、と彼女たちは言っていました。教師でもなく父兄でもない立場から教育現場の悲鳴を告げる声を、聞き届けるのは誰でしょうか。