コロナの街・part14

寒い朝です。そろそろ年賀状の準備をしなければなりません。年賀の原稿をコンビニで縮小コピーし、隣の画材屋で木版の絵葉書を買いました(日本のお年玉付年賀葉書は、賭博禁止の関係で、海外へは送れないのです)。コロナ禍の仏蘭西や米国の友人たちはどうしているかしら。セリンジャーさんへは、ハリス副大統領就任のお祝いを書き添えなくては。米国の大学で日本文学を教える彼女も、アメリカン・ドリームを叶えた印度出身の一族だからです。

路傍の欅や満天星の紅葉が鮮やかに、ぱっと目に入ってくるようになりました。今年は寒暖の差があったので、綺麗に紅葉したようです。

長野の友人から届いた林檎を2つ、行きつけの肉屋の女将にお裾分けしました。紅の色が濃い、と喜んでくれました。傍にいた乳母車の中の赤ちゃん(性別は不明)が、私の顔を見て、ゆっくりと微笑みました。落ち着いた、ほどよい距離の笑顔だったので、思わず、手を振ってあやしました。つい、女将に「赤ちゃんから顔を見られるのって、見られて嬉しい子と、ひっぱたきたくなるような目つきで見る子とがいるけど、この子(から見られるの)は嬉しい」と言ったら、コロッケを買っていた母親が、「そこの図書館で、絵本の読み聞かせをして貰って来たところなんですよ」と言う。ああ、心が満足しているのね、と言って、バイバイをしました。

寒い日は心も寒くなりがち。マスクをしていると、相手の表情が判らないので、見ず知らずの人との会話は躊躇われます。こういう、店先での、その場限りの会話ができる日常が、はやく戻ってきて欲しい。それこそがコロナの終息でしょう。

帰宅したら、薄日が射してきました。今年最後の原稿校正が、明日締め切りです。