山城便り・武蔵鐙篇

鳥取で同僚だった錦織さんから、ちょっと珍しい花便りが来ました。

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ムサシアブミの芽

【昔、名和町の道の駅に立ち寄ったときに、山野草のコーナーで、ムサシアブミという見慣れない、聞き慣れない植物があったので、物珍しさで買い求めました。ほったらかしでも花を咲かせるので、数年後、よく似た植物(ウラシマソウ?)も買いました。京都に来るときに、捨てられなくて持ってきましたが、毎年、季節になると芽を出します。年々、数が増えて、最初は1本だったのが、写真のように雨後のタケノコのように生えてきています。鉢を分けなければと思いながらも、そのままになっています。(錦織勤)】

名和町は、後醍醐天皇隠岐の島から脱出して上陸した土地です。地元の長者名和長年が味方につき、京都へ攻め上ります。37年前は、名和長年の焼けた屋敷跡が残っていて、地元の人は、子供の頃ここでよく遊んだが、竹藪をちょっと掘ると焼けた米が出てきたもんだ、と話していました。

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花が見え始めた

芽の写真は3月31日でしたが、これは4月8日付。発蕾の姿はちょっとシュールですね。錦織さんに山野草の趣味があることは、初めて知りました。

鳥取時代、突然冬瓜の実を持って現れ、好きなので庭で作っているが、作りすぎて妻に叱られた、という口上でした。冬瓜を料理したことはなく、どうしていいか分かりません。うっすら産毛が生えている。皮は剝くのかしら―クックパッドもない時代です。料理屋では、干し海老と共に薄口に煮て出すことだけ知っていたので、まず試してみました。油揚と一緒に味噌汁にも入れてみました。ベーコンと炒めてもみましたが、応用はその辺までが限界でした。京都の新居では、大蒜を栽培しているそうです。

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ムサシアブミの花

花(正しくは仏炎苞という)の形が馬具の鐙に似ており、歌語でもある「武蔵鐙」に寄せた命名です。葉が広がると花は隠れてしまうので、鉢植えがいいかもしれません。