川越便り・一人静篇

川越の友人に、フタリシズカは花穂の形が違うのではないか、と問い合わせたところ、これがヒトリシズカだ、と写メールが返ってきました。

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ヒトリシズカ

この時季は次々に花芽が出るようで、矢継早に花便りが来ます。

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イカリソウとヒメリュウキンカ

錨草は私も育てたことがあります。40年前、横浜の青葉台に住んだ頃、近くに同年代の軍記物語研究者が3世帯もいて、よく遊びに来ました。当時はちょっと山際へ行けば蝦根蘭や茜草が自生する土地で、手土産代わりに錨草を掘って持って来てくれた人があったのです。薄紅で(葉はもっと小さかった)、毎年よく咲きましたが、鳥取へ赴任する時、塀越しにみごとな紅梅の樹のある、行きつけの米屋に引き取って貰いました。

あの当時の3世帯はのちに2組が妻のみ、1組は夫のみとなり、子供たちは立派に育ちました。まこと歳月人を俟たず、一所に集まることももうありません。

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キバナカタクリ

黄花片栗は知りませんでした。北米原産だそうです。何だか百合みたいですね。

我が家は実生の紫華蔓が2年がかりでやっと咲いて、喜んでいたら、同じ鉢にあったはずの紫蘭の芽が出ません。駆逐されてしまったのでしょうか。10年近く葉茎だけを養って(捨ててある苗を拾ってきた)、ようやくここ2年ほど花が咲くようになったのに、残念です。紫華蔓はそ知らぬ顔で伸び伸びと株を広げ、種子も採取できました。その葉陰に埋もれて菫が咲いています。世の中は3日見ぬ間の桜かな、という大島蓼太の句がありますが、菫は芽が出てから、なかなか大きくならないように見えて、ある日突然咲いているという、テンポの切り替えが速い草です。せっかく咲いたのに見て貰えないのも可哀想なので、摘んで香水瓶に挿し、洗面台に置きました。