平治物語絵巻

依田徹さんから、遠山記念館のテーマ展「源頼朝の時代―平治物語源平合戦」の案内が来ましたので、御披露します。依田さんは東京芸大修士課程で岡倉天心の研究をしていた時に本奨学金を受給、その後大宮盆栽美術館に勤め、茶道文化に関する著書も多く出し、現在は遠山記念館の学芸課長です。「遠山記念館だより」62号には、今回の平治物語絵巻展示に関する詳しい解説を書いています。

平治物語に基づいて制作された平治物語絵巻は分断され、分蔵されて、現在では全巻を見ることができませんが、ボストン美術館に「三条殿夜討」、静嘉堂文庫美術館に「信西」、東京国立博物館に「六波羅行幸」の各巻が残っています。そのほかに「待賢門合戦」と「六波羅合戦」の巻があったはずで、今回展示されるのは前者の前半1巻、後者2巻の狩野養長による模写だそうです。狩野養長(1814~75)は熊本の細川家に仕えた肥後狩野家10代目で、9代目養信が天保11(1840)年に京都や奈良で養長を含む弟子たちに模本を制作させた際の成果であろうとのこと。依田さんは、遠山本が東博本白描絵巻の系統に属し、推定復元模写というべきものとしています。

展示は5月29日まで、https://www.e-kinenkan.com

ほかにも個人蔵の平治物語絵巻「六波羅合戦」断簡、文治3(1187)年11月9日付頼朝書状、江戸前期土佐派の「源平武者絵」などが展示されます。

依田さんは『明日へ翔ぶ―人文社会学の新視点― 1』(風間書房 2008/3)に「岡倉天心横山大観、その元恋人と今泉雄作」という論文を載せています。5月7日13:30からはオンラインで、「頼朝の時代の文化と美術」と題した講演をする由。申し込みは tkkk@e-kinenkan.comへ、先着順80名まで。