ステルス

エノキさんと、物価上がってるよね、という話をしました。スーパーのレジで、え、そんなに買ったっけ、と驚くことが多くなった、カートの中は以前とほぼ同じなのに、と。政府統計では(信用できるかどうかはさて擱き)、物価は上がってないかのように言うけど、じつは値段が同じでも内容量がそっと減っていたりするのです。例えば1袋に以前は7本入っていたウィンナソーセージが、いつの間にか5本になっている。

こういう現象をステルス値上げというのだそうです。戦闘機のように、レーダーには引っかからないがダメージはちゃんとある。原材料価格や輸送料上昇など、理由を告げて値上げした物も勿論ありますが、大半は商品入れ替えによって値上がりしています。

現職時代は1万円でも必要なら出せたけど、年金生活になったら2000円超えの支出にはちょっと考える、と言ってから、それはつまり収入に対する比率なんだということに気がつきました。エノキさんに年金は現職時代の収入の何割くらいだと思うか、と訊いてみたら、8割?6割?と言うのですが、違います!ー何割だと思いますか?

かつて、年金額はその人の平均収入の6割、といった計算式によるのだと思っていましたが、現実はそうではありません。2~3割だと思っていた方がいいでしょう。しかも年金はじりじり下がり、保険料や税は上げられる。もう稼げなくなってから必要経費が上がっていくことへの恐怖は、現職時代には想像もできませんでした。家計の金融資産の63%を65歳以上が持っているなどという報道を見て、誤解してはいけません。

働き盛りには自分の老後資金など見通せないのが普通です。私は給料明細表を見て、引かれている税金と社会保険料との合計額を貯金しようと努めました(苦しかったけど)。年金だけでは暮らせないだろうと予測はしたのですが、それでも甘かったと今は思います。