屠蘇散を探して

年賀状を書き終わったので、ぼつぼつ年越しの準備を始めました。肉屋で笹身と牛肉を予約。何よりもまず屠蘇散を確保しなくっちゃ、とスーパーへ行って店員に訊いたら、屠蘇散そのものを知らないようです。日本人なの?と思ってしまいましたが、説明して探して貰ったら、27日以降本部から来るかもしれないが確かではない、と言う。

我が家では大晦日に父が屠蘇酒を調合するのが慣わしで、味見を繰り返しながら楽しそうに作りました。錫の銚子と塗物3段重ねの盃もあって、元旦にまず父が呑み、長男から、と次に弟が呑みました。男尊女卑だ、と内心不服だったのですが、調べてみると、屠蘇酒は若い順に呑むのですね。中国の薬酒が渡来、平安時代からあった習慣だそうですが、東京の若い世代では屠蘇酒を知らない人が多い。もともと西国の習慣だったようです。正月の必須アイテムは屠蘇と雑煮、とずっと思い込んでいました。

尤も味醂だけで作る家、酒と味醂半々で作る家、いろいろなようです。我が家もだんだん辛口で作るようになり、私は味醂1、酒2または3くらいで調合します。今年は銘酒を2升5合も頂いたし、玄界灘の干物もどっさり来たし、岐阜の栗きんとん、宮古島の巨大なメロンや信濃の林檎も仏壇に上がっているので、大宴会が開けるくらい豊かな気分なのですが、屠蘇酒がなければ父に顔向けできない気がします。

明日から屠蘇散を探しに出歩かなければなりません。ネットを見たら、楽天に中古の屠蘇売ります、とありました。屠蘇散ばっかりは縁起物、第一、去年のものは香りが飛んでしまって意味がない。塗物の酒器も出品されています。漆器は手入れが難しいので、親の家を片づけた時、申し訳なく思いながら処分しました。元旦には、中国土産の急須と呉須赤絵や九谷の盃で、仏壇とサシで呑むことにしています。