少子化の時代

少子化対策に都からは¥5000一律支給の話が出ています。健保の出産一時金上積み分は後期高齢者保険からも拠出することになりました。自民党は大学まで無償化を唱え、政府は・・・とあれこれ美味しそうな交付金の提案が行き交っているのですが、果たしてそれで出生率が上がるのでしょうか。

エノキさんが出産年代の友達に訊いてみたら、¥50万やそこらが問題ではない、というのが大方の声だったとか。そうだろうなあ、と思います。子供を産むなら、少なくとも四半世紀に亘る社会の安定が見えていないと、というのが今どきの、ごく普通の男女の気持ちではないかしら。

かつては食うや食わずでも子供を持つのが当たり前、子供は子供同士で育つから親の掛ける手間には限りがある、という考えが暗黙裡にあったと思います。しかし現代では、理想の子育てに上限がない。その一方で男女とも、成人後にもやりたいことが一杯あって、自分の人生のいい時期を出産や育児に捧げる決心がつかない、もしくはその時期を逸してしまうという事情もあります。

つまり、各人が生涯の一時期に家族に捧げる時間や労力、精神的負担など、目に見えない代償が当たり前ではなくなったのです。それは手当や補助金のような交付金でまかなえるものではなく、一口に言えば、子供を育てながら自分の人生も楽しめて、老後は子供らに負担を掛けず暮らせる社会が見えていることが、重要なのではないでしょうか。

ちなみに老人が貯蓄しているのは、子供の世話にはなるまい、という健気な決心からです。子が親を養うのが当然だった時代は、とうに去りました。特殊詐欺や社会保険が高齢者の貯蓄を財源として狙うのは、間違っています。