分断

若い頃、年金は自分が積み立てている資金だと思っていました。自分の所得の平均×何割を目安に支給されるものと信じていました(今でも、いつの間にか制度が変わってしまったのだという気がしています)。それでも老後、年金だけで暮らせるか否かは分からないという不安はありました(定年後、不安が現実だったことを知りました)。

もはや自ら稼げない年齢になってから定期収入を減らされるのは、「困る」というレベルではなく恐怖です。現役時代に納めた税金や保険料は、いったいどこへ行ってしまったのだろう?現在の高齢者も、あの当時の高齢者たちを支えたはず。その上出産一時金の財源を後期高齢者保険からも拠出する、という話も腑に落ちません。自分が出産年齢だった時、そんな制度があったかしら?

高齢者はみんな金持ち、もしくは殆ど金なしで生きていける、とでも?年金生活に入った時、手取りがいくらで、老後も払わねばならぬ社会保険料や住居の経費を引いたらいくら残るか、予測したことがありますか?恐らく大抵の人が吃驚するのではないかと思います。そもそも、○○一時金とか××手当とかをばらまいて、国民の生涯保障や社会の人口構成の問題を解決しようとするのが間違っていると思います。ふつうに成長し、学び、働き、健康を維持し、家庭を持ち、勤労年齢が過ぎたら寿命が尽きるまで安心して老後を送ることができる、そういう生活を誰にも保証するのが政治であり、そういう生涯をイメージできるから安心して子を育て、高齢になるまで働けるのではないのか。

高齢者数が多いからうまくいかない、子供は公的支援金で増やせ、現役世代は損している、と宣伝するのはつまり社会の分断です。何の得にもなりません。老人たちがいそいそとリタイアでき、全世代が文化的な生活を送れる経済を、実現してみろ。